この前の土曜日、普通だったら私が参加するようなものではなかったのですが、声を掛けていただいて美術館へ行って多色刷りの版画の体験をさせていただきました。
版画をするときには
まずは、雰囲気をつかんでいただくために説明しますね。
版画は版木に染みこんだ染料を紙に吸い取る作業だそうです。
なので・・・
まずは版木にビンの中の染料を筆を使って乗せます。
その後、その染料を色を付ける部分に伸ばします。
そうしたら、版木のしるしに紙を合わせるように置いて、上からバレンでこすり、紙に染料を吸い取らせます。
多色刷りの場合にはこの作業を何度も繰り返して完成です。
ちなみに、上の写真の場合にはここ以前の工程で富士山の輪郭と赤い色を刷ってあり、この版木では、富士山の上の方の黒い部分の色を付けます。
まずは単色刷り体験
私が刷った版画です。写楽かな?
なかなか上手にできたと自分でも思っています。
1色で刷るのは小学校(何十年も前ですが・・)で経験済みです。
なので割と簡単でした。
次は版木4枚で5色刷り
仕上がりは右上の富士山の版画です。
この部分では富士山の輪郭を写します。
青い色を輪郭に付けて、刷毛をもって染料を伸ばそうとしています。
紙を印にあわせてバレンでこすります。
この作業を4回繰り返します。この版画では最後の時には2色を1つの版木で一度に刷りました。
そうして出来上がったのがこちらです。
なかなか難しかったです。何度も同じ紙に色を写していくのですが、きちんと置いたと思っても、バレンでこすろうとしたらずれてしまって、赤い富士山の色が輪郭とずれてしまいました。
そのほかにもいろいろと失敗しました。
終わってすぐにもう1回やりたい!と思いましたよ。
プロの方はこんな風にできるみたいです。
さすがです。。
見本はちゃんと汚れないようにパウチされていました。これで何回も見本として使えるのでしょうね。
最後に5枚の版木で5色刷り
次はもっと細かい作業でした。。
出来上がりがこちらです。
これだけ見ていたらそれなり?
でもでも。。
見本を見たら・・・
色が全く違います! さすがプロですね。
人はちゃんと肌色だし、笠も表と裏で色が違います。
私のは黄色の次のオレンジ色っぽい色が薄すぎたようです。全く色が出ませんでした。
さすがプロですね~
美しいと思う心
さて、実際に多色刷りを体験した後に、少し講義がありました。
国立大学の学生に知っている画家を聞くとたくさん出てくるけれども、好きな画家を聞いたら1位はいないという答えが一番多かったそうです。
美しさを感じる心が衰えているのではないかという事でした。
講義の中で、小林秀雄の言葉を教えてもらいました。
養い育てなきゃ衰えてしまう。なるほど、国立大学の学生さんは勉強はしたけれども美しいものを感じる能力を養い育ててなかったのかもしれませんね。
そして講義の後、東海道五十三次を見てきました。
それも、自分が美しいと思うもの、家に持って帰りたいと思うものを1枚選んで班の人に自分が一体その部分を美しいと感じたのかを説明をする。
という課題付きでした。
本当の東海道五十三次では・・
もう、信じられないくらいのクオリティ―の高さでした!
版画とは思えません。
絵のようです。絵にしか見えません。
東海道五十三次と言えば広重ですが、広重を支えている彫り師の方々、摺師の方々の職人技というかそんな裏方さんたちの神業があっての作品だと改めて思いました。
凄い技だと思いました。
オマケ
もう、神業だ! と思って感動したのは本当です。
でもね、どうしても美しいと思う1枚が選べなかったのです。
どれもこれもすごい! とは思うのですが、心に響いてくる美しさを感じることが出来ませんでした。
それで、私も美しいものを感じる能力を養い育ててなかったのだ、と気が付きました。
お花だったり自然だったりはきれいだな、美しいな、と思うのですが。。。
身近なものでないと美しいと感じないのかな?
それとも、形がすごいとか、発色がいいとかの判断で花や自然も美しいと思っているだけなのかな?
美しいと感じる心は養い育てなきゃ衰えるそうです。私はこれからはたくさんの美しいものを見に出かけたほうがいいかもしれません。
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